ディスオーダー【短編集】

 “俺の声を聴いた者は、それがどんな言葉だろうとみんな死ぬ。

 だからお前は、「死にたいから発して」と言うんだ。

 そうしたら俺は声を発し、お前の命を奪うだろう。”


 私はコクンッとうなずいた。

 ゆっくりと息を吸い込み、「死にたいから発して」──私はそう言った。

 彼は口を開き、そして……一言、(声を)発した。

 私の意識はどんどんと遠退いていき、やがてただの暗黒へと誘われていく──。


「やっとあの気味の悪い男の声を聴き、こうしてカメラを回して全国に流すことに成功したぜ!これで俺はおおがねも……──」


 茂みに隠れていた1人の男は、嬉しそうに声を荒げたかと思うと、バタリと倒れてそのまま息絶えた。

 起動中と表示されたカメラがころころと転がっていく。


 気味の悪いと噂される男の声はカメラを通して全国に流れ……こうして、世界は滅んだのです。


END.
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