ディスオーダー【短編集】
12 → 押し入れ
「絶対にこの中を覗くなよ」


 親友のコウタの家に遊びに来た俺は、部屋に入るなり真っ先にコウタに押し入れを指差され、そう忠告された。


「なんか、あんのか?」

「いや……まぁ……うん……。とにかく!開けるなよ?!絶対に開けるなよ?!」

「分かった、分かった」


 親友の俺にさえ、押し入れの襖を開けちゃいけない理由がそこにはあるのだろう。

 まぁ、普通は人様の家の扉を好き勝手に開けないし、当然といえば当然なのだが。

 エロ本やアダルトDVDなんかの“そういう部類”のモノを隠しているのだろうか?

 そりゃあ、コイツだって男だし二十歳越えているし、1つや2つ持ってはいるだろうけどさ……。

 俺も男で、“そういう部類”のモノは見る時は見るし、隠さなくてもいいのになぁ……。

 時を忘れて俺はコウタと遊んだ。

 遊んでいたら押し入れのことも忘れいき、やがて日も暮れ始める。

 すると、コウタはふと立ち上がった。
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