ディスオーダー【短編集】
「ちょっと、トイレ」
「おう」
トイレで用を足すために部屋を出たコウタの帰りを、寝転がって待つことにした。
仰向けに寝転がって視界に飛び込んできたのは、最初にコウタが「覗くなよ」と念を押してきた押し入れの襖。
押し入れのこと、すっかり忘れていたけど……ちょっとくらいなら、覗いてもいいよな?
いけないと思いつつも押し入れの中が気になった俺は、コウタがその場にいないことをいいことに、ゆっくりと襖を開けた。
「――っ?!」
押し入れの中に押し込まれるようにいれられていたのは、一週間前から行方不明になっている俺のオカンの死体だった。
「だから開けるなって言ったのに……」
背後から、トイレから戻ってきたであろうコウタの声が聴こえた。
END.