ディスオーダー【短編集】
15 → 壊れた貴方とイカレタ僕
「ユイくん、今日ね、お空を見上げたら、赤い人間が飛んでいたんだよ!ぴゅう~~~~ん、って!」


 そう言って君は、自分の両腕を鳥のように見立て、パタパタと上下に振りかざしながらクルクルと回った。

 君の言うことは“すべて”本当だからね。僕以外の誰もが信じなくても、僕は信じるよ。君の言った“すべて”を。


「そうなんだ!その赤い人間、どうしたい?」


 僕が微笑みながら尋ねると、君は無邪気な笑顔を浮かべて言った。


「捕まえてほしい!それでね、たーちゃんね、その人とおともだちになるの!今日見たお空のこととか、踏み殺した虫の数とか!楽しく笑い合いながら話せるといいな~」

「そうだね。たーちゃんは世渡りが上手だから、きっとおともだちになれるよ。今から捕まえてくるね」

「ほんとう?!やったぁー!ユイくんだいっきらい!」

「うん、うん。僕もたーちゃんのこと、“ダイスキ”だよ」
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