ディスオーダー【短編集】
 怖くなってきた私は、さっきよりも激しく、暴れるようにして壁や天井を叩いた。

 身体を思い切り揺すり、大きな音を鳴らして居場所を知らせようとした。

 しかし周りに人の気配はない。

 すると、次の瞬間、壁が迫ってくる音が聴こえた。

 手を当ててみると、確かに壁が迫ってきている。幅がせまくなってきている。


「だれかー!だれかー!」


 必死に声を荒げるも、やっぱり人の気配はない。


 そして、ついに――メキメキメキメキッ、ずちゃずちゃずちゃ、ぐちゃっ。

 私の身体は木っ端みじんになっていた。


「おっ、見ろよ。ここに薄型テレビがあるぜ」

「やっぱりテレビは薄型に限るよなぁ。持って帰ろうぜ」

「おう」


 急いでブラウン管テレビから薄型テレビに買い替えましょう!

 ……潰されたくなければ、ね。


「あれ?この薄型テレビ、見掛けのわりに思っていた以上に重いな……!」


END.
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