ディスオーダー【短編集】
 本来、片方が青色なら、もう片方は赤色ではなければいけないのに。

 何度見比べても、四面方向……すべての信号機は“青”だった。

 ユキくんの車にぶつかってきた運転手は、信号機が青だから車をとめることなく発信させたんだ。

 じゃあ、これは……運転手が悪いんじゃなくて、信号機を管理している人が悪いっていうことなの……?

 ――ドカーンッ!!!

 また、わりと近くからけたたましい衝突音が聴こえた。みんながみんな、そちらに近付くと、今さっきと同じような光景になっていた。

 四面方向、すべてが青信号。

 さっきと違うところといえば、事故車が3台に増えているということ。とんだ大事故になってしまっている。


 ――その日、全国の信号機すべてが謎の青色になるという事故が発生したため、数千人以上の死者が出たという。

 これが世界滅亡への序章なのだとしたら、やっぱり、私に出来ることは何もない。

 世界が崩壊していく様を、眺めていることしか出来ないのだ。


 ……でも、今すぐにでもユキくんのもとへ行けたなら、世界滅亡を眺めないで済むのかもしれない。


 ねぇ?ユキくん。


END.
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