【短】桜が咲きますように…



気づけば分かれ道。



私は左、トモは右へ行かないと…



「ねぇトモ、携帯持ってないの?」



また会えなくなるのが悲しい。


でもきっとトモは…



「携帯ないんだ…
高校受験が終わったら、買ってもらえる。
お姉ちゃんも、そうだったから。」



やっぱりね。

何となくそんな気がしてた。


でも淋しいよ。




あっ!




「じゃあ、高校決まったら教えて?」


「えっ⁉ うん、いいよ。」


やった!


「良かった♪」


「 まぁでも、高校決まったらの話だけどね。」



苦笑いしながら話すトモ。


何を言い出すのかね、この子は。



「トモなら絶対大丈夫だって!」


「その自信はどこから湧いてくるんよ…

ま、そこに救われてる俺もいるんだけど。」


「何か言った?」


「いいや、何でもない」


「ねえ、トモは知ってた?
試験に合格することを、"桜咲く"って言うんだよ。」


「へ〜、知らなかった」


「私の名前、春菜でしょ?
桜は春に咲く花。つまり!
私が大丈夫と言ったら大丈夫!」


「フッ 何だそれ。
でも、良いこと聞いたよ。」


「でしょ?」


「うん、ありがと!
じゃ、またね。」


「じゃあね。頑張って!」



ばいばい、トモ。

そしてありがとう。



あなたのおかげで、
最悪の日が最高の日になりました。





-fin-


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