こちら、なんでも屋でございます【2】
プロローグ




突発ですまないけど、俺とレインの出逢いのお話をしよう。
聞きたくない人もいるかもしれないがそこは我慢してくれ。

俺とレインが出会ったのは俺が二十歳の頃。
その頃、俺は誰も来ない絶好の廃墟ビルを見つけてそこに荷物を運んでいる最中だったんだ。
その日は、土砂降りの大雨で傘をさしても服がぬれるぐらいの豪雨だった。
生活に必要なものだけを持ち、家から廃墟ビルまで運ぶ単純な作業をしていた。

その時、ふと目に入ったゴミ捨て場に
―――彼女が寝ていたんだ。
最初は死体だと思って焦ったけど、よく見ると息もしていたしただ寝ているだけだった。
タンクトップに黒いズボン。
雨にぬれているせいか妙に色っぽく感じた。
邪まな気持ちも少々あったが俺は傘を彼女に掛けた。
その時から俺は彼女に、いやレインに惚れていたのかもしれない。



< 1 / 72 >

この作品をシェア

pagetop