ジュンアイは、簡単じゃない。



1組の教室に戻ると、モモちゃんがお弁当を広げたまま……


まだ、箸もつけずに待っていてくれた。





「モモちゃん……。」




じわりと…熱いものが、込み上げてくる。






「………。紅茶買うのにどれだけ時間かかってんのよ。行列でもできてた?」




「…………。」



「………。売り切れだったみたいね。」




私がなに持っていないのに気づいて…、彼女は機転を利かせる。





「心の友よ……!!」



「………はあ?」




私は……モモちゃんにハグをして、これでもかって言うくらいに強く…抱き締める。



もう少し、もう少しだけ……



この、生温い心地よさに……お風呂のようなあったかさに……




浸かっていたいんだ。





何故なら、彼と出会ったことで…




いつもとは違う、急かすような風が…私の中に吹き込んで。


確実に……疼いているのだから。









「「いただきます!!」」



こんな日常が……どんなにありがたいのか。


それを噛みしめながら……両手をしっかりと合わせる。





この、平和な時間は…あと、どのくらい残されているのだろう。












じゃこ御飯を、大きな口で一口、



食べようとしたところで……。







教室の中が、ざわめき始めた。









「オイ、何のつもりだ、お前!わざわざまた馬鹿にし来たのか?!」




ドアの方から…、力の怒鳴り声が聞こえてくる。



「………?なに…、どうしたんだろう、力。」




モモちゃんと二人で、顔を見合わせていると……。








「…………?!」


私は、思わず…


口に入れた御飯を、吹き出してしまった!







クラス中の視線を一手に担って。



大きな瞳をキョロキョロさせたセナくんくんが……




ドアの前に、立っていたのだから!






反射的に、顔を隠して……



そろりと、後ろを向く。







「……ちょっと、きん!こっちまで飛んできたんだけど!!」





元々後ろ向きに座っていたモモちゃんは…、この事態に気づく訳もなく。



大声を…たててしまう。





平穏な時間が……ゆっくりと。


音を立てて…崩れていく。









女の子の悲鳴の声が飛び交う中を……、



真っ直ぐに、こちらへと向かって来る…セナくん。






何を言われるのかと、構えていたけれど。




数秒間……


ただ、じっと見つめられた後…。




無言のまま、腕を掴まれた。




「ちょっと、今、御飯を……」


手を振りほどいた私の目の前で、彼はさっさと弁当を片付けてしまうと。


大きな手で…ハンカチへと、器用に包む。




「………。これでいいか?」





……んな訳なかろうよ。





そんな私の思惑などお構い無しに、彼はまるで…『来い』と催促するように…、アゴを僅かに動かして。私に……指示する。



「でも……ご飯…」



名残惜しむのを察してか。


彼は、問答無用!




ひょいっと弁当を取り上げて。


さっさと…教室を出ていってしまう。







「…………。………は?」





呆然とする私に…




モモちゃんは言った。





「いいの?カルシウムたっぷり含んだじゃこ御飯。」





「…………よか……ナイっ!!」









音を立てて、席を立ち上がると……。





彼の背中を追って、廊下へと…駆け出して行った。


































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