ジュンアイは、簡単じゃない。





走り疲れて…、いよいよ足を止めた私は、



膝に手を置いて…乱れる呼吸を整えながら…



真っ直ぐ前を見上げた。






セナくんはいつの間にか歩みを止めていて。



大きな欅の木の下で、私をじっと…見つめていた。








「食い意地だけは一丁前だな。」



「…………!」



『アンタのせいでしょ』…と、そう言ってやりたかったけれど。苦しくて…言葉がでなかった。











木の下に座りこんだセナくんのとなりに、私も…腰を下ろす。





「…………。」


何だか…その距離が近くて。


お尻を動かして…少し距離をはかる。




吹き抜ける風が、汗をかいた額に……涼を運んで来る。




なんて気持ちいい場所なんだろう……。










「人を差し置いて、自分だけ食べてるとか…。なかなか、意地悪い。」




「……は?」



「だから、昼食のこと。」



「ああ……。…ごめん。」



「だけど、倉橋が来るまで弁当があるってことも、知らなかった。」



「…………。」



「…遠慮したのか?」



「……?何が?」



「わざわざ倉橋に持ってこさせるような真似をしてるから。」



「だって…。また、騒ぎになるでしょう?アンタに迷惑かかるんじゃないかなって。」




「馬鹿なりに、そういうことも考えるのか?」




「………。そうだね。」




「………案外、根性ないんだな。」


「………?!」



「恥ずかし気もなく、32点のテストを飛ばしたり…、木登りしたり、料理を強要したり……。今朝は、一人競歩大会してたな?そこまで堂々と醜態を晒してきたのに、お前から馬鹿をとったら何が残る?ただの…脱け殻だ。」



「………悪かったね。」



……てか、競歩って……。
アレを、見てたのか………。



「朝からこそこそと…隠れるようにして、燻った顔して。逆に気味が悪い。それとも…何か?俺ばっかり見ていて、朝ご飯もろくに食べなかったから…力がでないだけか?」




「……………。」




私に興味もないくせに……


そういうことは…気づくんだ…?





「俺は要らないから…、アンタが食べろよ。」




セナくんはそう言って、私の目の前に…

小さな弁当箱と、もうひとつ…大きな弁当箱を置いた。




「……。でも、セナくんは……?」




「購買で買ってきてもうとっくに食べた。アンタのせいで…これは食べれなかったんだ。責任とれ。」




「……………。」




もしかして…。


私のため?



………そんなわけないか。






「…………。わかった。………いただきます。」









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