眠り姫はひだまりで【番外編】
「俺ね、料理とかお菓子作るのとか、好きなんだ」
大粒の涙を流し続けるあたしを、裕也くんは目を細めて見つめる。
「男なのにそんなの引かれるかなって思ってて。でも、ミオちゃんは俺の作ったもの美味しそうに食べてくれるから、凄く嬉しかったんだよ」
…そーだよ。
だって、美味しかったし。
まだ付き合っていない頃、裕也くんのお家に招かれては彼の手料理を食べた。
全部、美味しかった。
何より、ばくばく食べるあたしを、裕也くんは嬉しそうに見てくれたから。
普通、あたしが手料理を振る舞う側のはずなのに。
…このままのあたしでもいいよって、言ってくれてる気がした。
「ミオちゃんが可愛くないなんて、思ってないよ。俺の料理喜んで食べてくれてる姿、可愛いなって思ってた。知ってる?」
ふるふると首を横に振る。
…知らないよ。
そんなの、知らないよ。
涙が止まらないあたしに、裕也くんが一歩近づいてくる。