《完結》アーサ王子の君影草 上巻 ~忘れられた庭に咲く誓い~
ラインアーサは腕に巻いていた予備の髪紐を外し、後ろで一つに結わえた。
「っ…いつものライアだ…!」
「ん? 下ろしてた方いい?」
「……どっちも好き」
「ば、馬鹿! そんな事…」
「だって、どっちもかっこいいんだもん」
「ああもう…! わかったよ。本当に敵わないなスズランには」
そう言いながらもう一度唇を攫うと少し頬を膨らませじっと見つめられる。本当にこの煌めく瞳には敵わない。恥じらってばかりかと思えば、時折意志の強そうな双眸が見え隠れする。その不思議な輝きに魅せられてしまう。
「あ……雨? 傘…」
「荷物俺が持つよ」
「このくらい平気だよ?」
「駄目。ほら鞄、その傘も俺に渡して。行こう?」
「……うん、ありがとう」
ラインアーサは輝く夕暮にも負けない彼女の笑顔を眩しそうに見つめた。

小雨が降り始めたが、敢えて傘はささずにスズランの手を引いて表通りへ出る。そこは色とりどりに飾られた街の姿。沢山の祭り客で大いに賑わっていた。
「今年はまた盛大だな!」
「…っお祭りってすごい! 街中とっても綺麗な飾り! それに、こんなにたくさん人がいるなんて…っ!!」
「ふふ。手はこうしてしっかり繋いでおけば迷子にならないだろ?」
「っ…いつものライアだ…!」
「ん? 下ろしてた方いい?」
「……どっちも好き」
「ば、馬鹿! そんな事…」
「だって、どっちもかっこいいんだもん」
「ああもう…! わかったよ。本当に敵わないなスズランには」
そう言いながらもう一度唇を攫うと少し頬を膨らませじっと見つめられる。本当にこの煌めく瞳には敵わない。恥じらってばかりかと思えば、時折意志の強そうな双眸が見え隠れする。その不思議な輝きに魅せられてしまう。
「あ……雨? 傘…」
「荷物俺が持つよ」
「このくらい平気だよ?」
「駄目。ほら鞄、その傘も俺に渡して。行こう?」
「……うん、ありがとう」
ラインアーサは輝く夕暮にも負けない彼女の笑顔を眩しそうに見つめた。

小雨が降り始めたが、敢えて傘はささずにスズランの手を引いて表通りへ出る。そこは色とりどりに飾られた街の姿。沢山の祭り客で大いに賑わっていた。
「今年はまた盛大だな!」
「…っお祭りってすごい! 街中とっても綺麗な飾り! それに、こんなにたくさん人がいるなんて…っ!!」
「ふふ。手はこうしてしっかり繋いでおけば迷子にならないだろ?」