〔BL〕透き通った嘘

「なんとかいってよ、ねぇー。」

ドカッ

殴られて。



最初の一発以外は、すべて服で隠れるところ。

俺が怪我をしてもバレるおそれはない。

ただ、久々だからなのか前よりも痛みが重い。

回診の時、バレないようにうまくやれるだろうか。


「…チッ、つまんなーい。
もう落ちたのー?」

痛みで感覚が麻痺した死んだ目の俺に、弟は近寄って汚いモノを見るような目で僕を見下ろした後、部屋から出ていった。

次に入ってきたときまだ俺がいたら、まだやられたいのかといってまた殴られる。

それだけは嫌だと、最後の力を振り絞って自分の部屋まで行き、鍵をかけた。

それからベッドへ転がり、気絶するように眠りに落ちた。

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