〔BL〕透き通った嘘
嘘の吐き方
────────…
「…行ってきます。」
無駄に広い空間に向かって言う。
…これだけは、昔から直らない。
病院に着くと、院長室に入り、白衣に着替えてから病室を回る。
俺の日課だ。
(…左頬、目立つな。)
昨日殴られたところには、手当をした。
これでも医学を勉強してる身だから。
ガチャッ
院長室を出て、病室に向かう。
そうだ、この傷は階段から落ちたことにしよう。
「園田さん、体の具合どうですか?」
「あらまあ院長先生!
その頬はどうなさったの?」
「じ、実は昨日、階段から落ちまして…」
「それはお気の毒に…
でもこういうときお医者様は便利ですね。
自分ですぐ手当できてしまうでしょう?」
「そうですね。」
はは、…確かに、俺はこのために医者になったのかもしれないな。