〔BL〕透き通った嘘
同じ職場で
『なんでもない』
あの時君はそう言ったよね。
僕はそれで納得してしまっていた。
ああ、なんでもないんだ、と。
僕が気付けていなかった。
君の出す、SOSに。
君はずっと、helpを求めていたのにね。
僕は君をずっと見ていたはずなのに。
僕は君のことを考えてたはずなのに。
どうして君の『助けて』に気付けなかったんだろう?
あの時気付いていれば。
“今”は変わったのかもしれない。
あの時もっと問い詰めていれば。
君の声に、気付けたかもしれない。
現実は時に痛々しく、綺麗で鮮明で───…
そして、残酷だ。