花びらの舞う冬
朝、目が覚めれば夢の記憶は薄れるものの、
彼女の声だけは頭から離れなかった。
「だいくん。」
夢の中ですら俺は記憶障害のままで。
彼女がなんなのか、わからない。
でも、きっと俺は彼女を知っていて、
とても大切に思っていた気がするんだ。
────夢の中で俺は手を伸ばす。
記憶はないくせに。誰なのかも分からないくせに。
分からないくせに。
俺は手を伸ばすんだ。でも、そのあと────
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