『華國ノ史』
 ピエロとセブンは大陸東にある港街へ向かうべく、大きな街道を目指した。

 
 暫くするとセブンは陽気に歌い出した。

「足痛いっ足痛いっ足痛いなー!」


「何それ?」

「足痛いの歌!」

「じゃあ、あの木の下で休もうか」

 
 二人は大きなレモンの木の下で食事を済ませる事にした。


 苔むした岩に腰をかけたセブンは靴を脱ぐと足には大きな豆が出来ていた。


「新しい革靴だからな、

 いっぱい歩いたら革が柔らかくなって足に馴染むよ」


「豆潰す?」


「潰さない方が早く直るんだよ、

 ちょっと気持ち悪いだろうけど我慢しな?」
 

 ピエロは鞄から焼いたパンを出し半分に割ったが、セブンは片手でそれを静止した。


「お母さんのチキンサンド、これ美味しいよ」

 
 セブンは大きいサンドを兄から貰ったナイフで切り分けピエロに差し出した。


「大事なお弁当だろ?1人で食べな?」


「美味しいから食べて貰いたいんだよ」


「そっか、じゃあ貰おうかな」

 
 ピエロがそれを口に運ぶと炙ったチキンとハーブがいい香りが香しく、一口噛むと甘いマスタードと肉汁が口一杯に広がった。


「うまい!本当にうまいよ」

「でしょう?」

 
 セブンはピエロが美味しそうに食べるのを見て満足そうだった。


「じゃあお返ししないとなー」

 
 ピエロはそういうと大きなトランクをかき回し、小さな木のネズミを取り出した。


「おもちゃだー」

「ネズミ好きだったろ?」

「普通だけど」

「え?宝物見せてくれたろ?」

「ネズミはいじめっこだよ、出っ歯なんだ」
 
 
 セブンはポケットからいじめっこのカトルの前歯を出した。


「じゃあ折ったのか?」

「三兄弟の名誉勲章なんだ」

「思ったよりお前凶暴だな、まあ退役軍人の村だからかな」
 
 
 ピエロは子供ならではの無意識の残酷性を感じていた。
 
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