『華國ノ史』
 追い詰められたセブンを見つめる騎馬隊は一式揃った鎧を着込んでいた。


 全員が槍の様に長く細く鋭そうな剣を携えている。


 隊長らしき男は背が高く、兜の目隠しを下げながら片手で合図を出した。



「全く、困った奴だ」

 
 
 一方、もう一団戦場に近付いてくる歩兵隊は皆思い思いの出で立ちであった。


 不揃いだが共通しているのは全員が巨体であるということ。

 
 隊長であろう男は息を切らしながら走っている。



「ぜーぜー、世話の焼ける」 


 
 混戦の中、その二部隊を発見したのは目の良いコボルト隊隊長グットマンであった。


グットマン
「セブン!旗だ!」


セブン
「あれは?

 菫!もう一つは力こぶ!

 兄さん…兄さん達だ!」


カトリ
「菫騎士団と巨人傭兵団か!

 皆!援軍だ!援軍が来たぞ!」


ウルブス
「気を抜くな!

 壁を越されるぞ、槍を拾え!


 勝てる!勝てるぞ!

 命にしがみつけ!」


 騎馬を下馬させ、乗り込まんとしていたフェネックはこの援軍を軽視していた。


 ニ隊合わせて百程度。


 それよりも眼前の大きな息の尽きかけている大物にしか意識はいっていなかった。


 これには二人の援軍は息巻いた。


トール&マッチョ
「野郎!」

 二人の怒りは彼等の部隊にも伝染した。

 彼等は少数で大軍に突撃していく。

 まるでそれは懐かしくも、いつもの事でもあるかのように。


トール&マッチョ
「弟に手を出すな!」


 
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