『華國ノ史』
 マッチョはというと、故郷の村を飛び出して直ぐにある傭兵団を探した。

 
 停戦条約可決後、彼等は農地開墾に精を出していた。

 
 傭兵団ではあったが準正規軍とされていた彼等は 

 戦いが終わった後も、己を鍛え、開墾した土地を国に売って生計を立てていた。


 朝から晩まで木を倒し、木を担ぎ、石を割り、石を運ぶ。


 元々でかい彼等の筋肉は更に隆起し、引き締まっていった。


 この傭兵団の入団条件はでかい事。

 
 そして力が強い事の二つを満たす事。

 
 マッチョはここで己を鍛え上げた。

 兄と弟と再会するその日まで。

 
 五年もすればマッチョに敵う剛力の者はいなくなった。

 
 更にマッチョは見た目によらず頭が良かった。

 
 兄と弟に挟まれた為であろうか、要領が良かったのだ。

 
 魔法都市壊滅を聞き、直ぐ様華國王都に移動したが未開地にいた為に開戦には間に合わなかった。


 セブンの無事を知り、参戦を決意。

 
 西の関所が襲われたと聞き即座に西へ向かったのである。

 
 そこでフェネックを発見し、襲撃の機会を伺っていたのであった。



 そして、兄二人は弟を救い、再開を果たす。

 セブンは泣いて感謝した。

 トールはマッチョを見て、マッチョもトールを見る。


 お互いに連絡をとってもいなかった二人は同時に弟を救いに来る事が出来た奇跡を思った。

 
 二人の間に言葉は無かったが、思うことは同じであると感じていた。

 
 兄二人はボロボロのセブンを見て、からかい、二人で肩を支えてやった。


 成長した三人は、まるで成長していないか様に、あの日のままで笑った。


 それは小さい頃の喧嘩の帰り道とよく似た光景であった。
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