『華國ノ史』
 クラッシュは夜のうちから煌皇の意図を読み切っていた。


 何故か頭が冴える。

 
 夜空に星が映えていた。


「明日は何かありそうだ。

 ボーワイルド程の男ならば力押しだけではあるまい」


 彼はある明け方の事を思い出していた。


「そうだった。

 あの子が現れる前日もこんな星がうるさい夜だった」

 
 彼は王都宮廷魔法使いを召集する。

 
 一人心当たりがあった。

 
 特殊魔法使いイデオット。

 
 彼が宮廷魔法使いに選ばれた理由。

 
 それは王都防衛に一番役に立つ男だからであった。

 
 育てたのはクラッシュである。

 
 彼の凄い所はあらゆる魔法使いを網羅し、

 その適正を割り振る能力であった。

 
 記憶力、応用力、管理力のどれにおいても優れていた。

 
 それに加えクラッシュは大都市の運営を任される程の才覚があった。

 
 その彼が見出だした今回の希望。

 
 イデオットの特性。

 
 それは人を知る羅針盤二枚目。

 
 木の特性を持つ男だったからである。

 
 クラッシュはあらゆる面で防衛作を考え巡らせた。

 
 そして彼は不意ににやけだす。

 
 それは、クラッシュは采配を振るった魔法使いが活躍したとの報告を聞いた時に見せる笑顔であった。
 
< 210 / 285 >

この作品をシェア

pagetop