『華國ノ史』

小さな怪物

 魔法適正試験

 泣きカエルの月、震える大地の月の15日の年2回に行われる。


 大陸北の一大国家、「華國」における軍事勢力の片翼を担う魔法使い達の発掘を目的として執行される。


 魔法を使える者は大陸の人口割合に比べれば非常に少ないが、通常の兵士に比べ精強である。


 その為に魔法の適正があると判断された者は厚遇された。


 何よりも戦場では真っ先にその命を狙われるが、生存率は高くそして近年では武功を上げる者は大抵は魔法を心得ていた。


 彼等は民衆の憧れの的であり、戦場では英雄であった。

 
 故にこの年二回行われる魔法適正試験は大陸中の者が3才、5才、7才の節目で受験する事が多い。


 しかしこの狭き門は殆ど努力ではどうにもならず、多くの者は祭りの行事として参加する。


 セブンはすでにピエロの証言で魔法が使える事を証明されている為、この魔法適正試験は免除になっていた。


 クラッシュは試験監督である為、セブンを午後から行われる能力判断試験まで通過者の待合室に預けに向かった。

クラッシュ
「じゃあ昼まで待っててくれるかい?

 外に出たかったら係の人に言うんだぞ?

 食事も用意してくれるからな」

セブン
「クラッシュ!」

クラッシュ
「どうした?

 呼び捨てはよくないぞ?

 俺は先生だからな」

セブン
「かっこいい名前だから言ってみただけ」

クラッシュ
「ありがとう」

 クラッシュは笑いながら待合室を出た。

 
 広く綺麗な待合室は装飾品等が多く飾られていたが、セブンの心細さを紛らわしはしなかった。

セブン
「ねえねえ」

 セブンが声をかけたのは使用人の男だった。

セブン
「僕、セブン、お早うございます」


使用人
「私は今季の魔法適正試験合格者様をお世話するウルブスと申します」


セブン
「じゃあウルブスはないちょうじゃないね?」

ウルブス
「?、ええ、違いますよお世話係です。
 
 何かやましいことでも?

 セブン殿」

セブン
「してないしてない、良いもの見せてあげようか?」

 
 ウルブスは現役を引退した魔法使いで、今回が初めての世話係としての仕事であった。

 
 初めての仕事はセブンの子守りであり、彼とは友人であり、師であった、と彼は後々まで自慢する事になる。

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