『華國ノ史』
 騒動はあったが、魔法医療班が直ぐに長髪の少年の傷を治し事なきを得た。

長髪の少年
「くそ、覚えてろよ、俺は貴族だぞ!」

クラッシュ
「ここでは身分は関係ない!

 全く、後で二人とも説教するからな!」

セブン
「僕は悪くないのに」

クロネ
「かっこよかったわよセブン」

クラッシュ
「全く、取り敢えず脱力の洗礼を受けて貰う。

 気持ちを切り替えるんだ」


 クロネが呼ばれ、石碑の前に立たされた。

クラッシュ
「今からこの石碑に向かい魔力を送れ、

 魔力の量と質によって石碑中央にある石が変化する。

 では初め!」

 クロネが魔力の光を石碑にあてだすと中央の石が黄色から青へ、青から緑に変化した。

クラッシュ
「ほう、珍しいな」

 クロネは魔力を出しきると膝に手を付き肩で息をした。

クラッシュ
「よくやった中々質の良い魔力だ。

 今見て貰った通り、魔力を使いきるとかなり疲れるからな。

 だが今後の教育方針の為に全力を出せよ、次!」

 
 他の二人は黄色止まりで、あの長髪の少年は青までいったが、悔しそうだった。


 ヘトヘトになった皆が見守る中、セブンは見よう見まねで順調に魔力を流していったが、途中で地響きがなった。


 すると急にセブンの体から大量の魔力が吸いとられるように石碑に送られ始める。

クラッシュ
「不味いぞ、セブン離れろ!」


 何が起きたのか分からずセブンは立ち尽くし、クラッシュが走り出した。

 
 セブンは気が遠くなり座り込んでしまい、

 それでも魔力は吸い込まれ続け、クラッシュが駆けつけた時には石碑は赤から黒に染まっていた。

クラッシュ
「医療班!」

 セブンは気を失ったまま担架に乗せられ運ばれていった。

 
 騒動に気づいた遠巻きの教師達も駆け寄ってきていた。


教師
「信じられん、質と量は魔導師クラスか?」


クラッシュ
「持っていた以上に引き出されたんだ。

 実際は魔術師クラスでしょうね」

教師
「初めの魔法もあれは無詠唱だったろ?」

クラッシュ
「しかも近くで見ていたが操ってなかった、

 自我を持たせてたようだ」

教師
「それは禁術じゃろ?」

クラッシュ
「ナイフも途中で奪われたよ、私がやったわけじゃないんだ。

 正直、驚いたよ」

教師
「鋼を操れるのは土魔法専門の上級者でも一部だけだろ?」


クラッシュ
「あの道化め、何も言わずに置いていきやがって」

教師
「規格外だな?」

クラッシュ
「性格といい可愛いモンスターだよ全く」
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