『華國ノ史』
 いつも縫い物をしてくれているクロネにも流石に金属製のブローチの修理は出来ず、

 授業が終わってから二人で貴金属店に向かった。

クロネ
「ロマンチックだと思わない?

 これきっと男の人が美しい水の精に贈った物よ。

 人間の男の寿命が尽きた後でもきっと大切に持っているのよ」

セブン
「クロネそういうの好きだよね」

クロネ
「分からないの?

 種族を越えた愛よ?

 愛なのよ?」

 死霊使いが言う台詞とは思えないと言おうとしたが、

 賢くなっていたセブンは黙った。

クロネ
「一途な水の精の御姉様にお会い出来るかしら」

セブン「会えたら良いね」

 二人は豚の真珠という宝石店に入ると店主はかなりの年代物だからと修理にかなりの金額を要求した。

 
 セブンは代わりに龍の尾から奪ったウロコを出すと店主は気を良くしてすぐに直すと張り切った。


 セブンとクロネは店内を見て回り、

 まだ時間が掛かりそうなので喫茶店に入った。

 
 そこでもクロネは人間と水の精の禁断の恋を語り、

 日が暮れそうな頃になって豚の真珠店に戻った。

 
 綺麗に直されたブローチを手に二人は走って「溢れ続ける水精の井戸」へ向かう。


クロネ
「きっとこの薔薇の壁も愛する水精への贈り物なんだわ」

 クロネの声に反応したのか噴水の水面が盛り上がった。

 クロネの興奮は最高潮に盛り上がっていた。

水の精
「いやー姿を見せなかったら、スケベな男子が直してくれると思ってたけど。


 こんな綺麗な女の子も連れて来てくれるなんてなー」
  
 
 噴水から出てきたのは気味の悪い男のような半魚人だった。

 
 クロネは口を開けて状況を確認しようと必死だった。

水の精
「そのブローチ僕の愛の証として受け取ってくれます?

 お嬢さん?
 
 いや、マイハニー?」

 
 クロネは無言でブローチのピンを手で引きちぎり魚人に投げつけて帰った。

水の精
「いやー参ったなーこれで30連敗だ。

 本当は色男なんだけどなーこれ呪いでね?」

セブン「嘘でしょ?」

水の精
「あっバレた?チュッ、お礼ね」

セブン「汚な!」

水の精「またブローチ…」

セブン「断る!」

 薔薇は女性を引き付ける罠であり、

 壁は姿をギリギリまで姿を隠す為の物であると真相を知っていたセコンドから教えられた。

 しかし、泥の妖精に続き水の精のキスによって恩恵を受けたセブンは、

 苦手であった水魔法が使いやすくはなっていた。

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