好き嫌い。
河川敷をゆっくり歩くと、チラホラと家族連れが遊んでいる姿を見ることがある。


普通なら、あたしもあんな風に家族がいたりするんだろうな。



…でも無理だもん。


恋心はあの日捨ててしまったから。


「バウ、おねえちゃんは一生ひとりきりだよ…淋しいねぇ。」


座り込んだあたしの横におすわりするバウ。


わかっているのか、フウ、とため息をつく。


「…ミノリ…」



不意に誰かに呼ばれた気がした。


振り向くと、夕陽に照らされて逆光で顔が見えない。


誰かな。


「ミノリ!」


ハッキリと聞こえてきた声。

聞き間違うなんてあり得ない、唯一無二の声。


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