好き嫌い。
気付いた時には抱きしめられていた。


「嘘だろ…本物のミノリだ…」


あの頃より更に低い声。

更に高くなった背。


力強い腕がぎゅうっと背中を抱きしめてくる。


「こ…康太君…?」


「嘘だろ…嘘だ…」


…いや、この状況の方が嘘だよ。

なんで抱きしめられてるの、あたし。


バウの散歩に出ただけなのに。


スッピンだし!スウェットだし‼︎パーカーだし‼︎


女子力皆無だよ⁈


「あ、あのっ、康太くん、離して!」


力一杯胸を押し、離れる。


< 32 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop