好き嫌い。
「で、どうなの!奥井 康太は優しい?っていうかもうヤッちゃった?」


打ち合わせが終わり、近くのファミレスに場所移動すると、隣り合わせに座ったアキが耳元で囁いた。



「ヤッ…!アキちゃん!」



飲んでいたカフェオレを吹き出しそうになる。


「だって…ココ。跡ついてる。
所有の証だねぇ、やるね、奥井康太。
で?ウブな実里さんはどうだったの?」


最早ガールズトークだ。


目の前に彼氏がいるにもかかわらず、2人だけで話しているみたい。


「どうって…」

「感想きかせなさいよぉ。」

アキちゃん…目の前に康太いるんだけど。言えるわけないでしょっ。


「奥井康太はどうなのよ、寄り道はお互いしただろうから不問に伏すとして、ようやく小学生の頃から好きだった女を手にした訳じゃん?」


問われた康太はにやりと笑う。


「そりゃもう、打ち合わせに来たくなかったですよ。」


…康太…何でこと言うの!

「あー、ミノリまだ寝てますとか言ってたもんねー。

なんか照れちゃうなー、あたし。」

「アキが聞いたんだろ。奥井も真面目に答えるなよ、その手の話にアキが食いついたらヤバいぜ〜。」


いつの間にやら打ち解けた遠藤と康太は楽しそうに話している。


「いやマジですって。離したくなかったんですよ。ずっとしてても飽きなさそうだし。」


康太の熱い視線が痛い。


ダメダメ。


今は外。

友達の前。


「お堅い実里さんがフリーズしちゃったわ。」


アキがそう言うと、みんなが笑った。


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