好き嫌い。
「ミノリ、うちに来るだろ。」


打ち合わせも終わり、アキ達とも別れて、あとは暇なんだけど。


「…うん…康太、何考えてる?」

「帰ったら教える。」

そう言って繋がれた手は、暖かくて大きくて、康太そのものだった。

「不動産屋とか、行かなきゃだなぁ。実里は何か希望ある?」


…希望?

「住むとこの、希望。」

「康太と一緒で会社に通える範囲ならどこでもいい。」


ぎゅうっと腕に抱きつく。


「そんな可愛い事言うと、朝までコースになるけどいい?」


朝までコース…。


「…うん。」


俯いて応えた実里を、康太は抱きしめた。


「早く帰ろ。」

幸せ。


こんなにも幸せ。


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