好き嫌い。
現在進行形・3

その1

5月5日。

快晴。


今日、親友が嫁ぐ。


久々の緊張。

鍵盤に触れると、不意に思い出すフレーズ。

『ミノリのピアノが好きになった』


そうだ。

康太が好きになってくれた、あたしの、あたしだけのメロディ。


気持ちを乗せて緩やかに指を走らせた。


こんな気持ちでピアノを弾くなんてなかった。


透明なグランドピアノは、奏でる音色に合わせて色んなカラーのイルミネーションで光る。


入場してきた新郎新婦がちらりとこちらを見た。


…ん?


なんかアキがにやって笑った気がする。


スーツを着た康太が大きなカメラを片手に撮影しているのが見えた。


かっこいいなぁ。


初めて見た、撮影してる康太。


弾きながら、あれやこれや考えるのって昔から好きだったな。


こうして康太と共にいれる幸せって、過去最大級の幸せ。



メロディに花が咲く。

気持ちがUPするような軽快なメロディ。


しっとりと妖艶な雰囲気のメロディ。


ジャズ、クラシック、なんでもいいんだ。

好きに弾いて、好きに奏でて。


実里らしい音が披露宴会場に響いた。


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