好き嫌い。
地元に帰り、荷物を置きに康太のマンションへと向かう。



たどり着いたそこには、康太の姿は無くカメラなどがなかったから撮影なんだな、と自己判断して余った時間でアキに会う約束をした。


康太には再びメールを送る。


【康太のマンションに着きました。留守なのでアキに会ってきます。】


返事はなかった。


珍しいな、メールないなんて。

それくらいにしか捉えてなかった。




待ち合わせ場所に着くと、既にアキが待っていた。


「アキちゃん!ごめんね!」

駆け寄るとアキは笑いながら言う。

「バウみたいね、実里。」

「は?」

「しっぽブンブン振りながら走ってきたから。」


…バウ…いや、バウは男の子だし。


「もう…コメントし辛いこと言わないでよ。28の女に言うことじゃないわ。」



歩き出したアキにつられ、実里も歩き出す。


「飲む?」

「だね。」


簡単な会話で行き先が決まる。
長年付き合っている親友だからこそ成せる技だ。


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