伝わらない、伝えられない
その答えはsideちとせ


『今日は四人で遊ぼうよ!ホームルーム終わったら教室に行くから、明と待ってて?』



昼休みに葵にそう言われて自分のクラスで待っていたけど、中々二人が来る気配がない。



「遅いなぁ…」


「葵達の教室に行ってみよっか?」



明の言葉に頷くと、一緒に葵達の教室に向かう。


でも、そこにも悠斗と葵の姿はなくて…



「帰った、とかじゃないよね?」


「鞄も置いてるし違うだろうね…ちょっと職員室見に行ってくるよ」


「じゃああたしは違う場所見てみる。会ったら連絡ちょうだい?」



手分けして二人を探すことに。二年の教室を全て覗いたけど、悠斗も葵も見当たらない…


そこで思い付いたのが屋上。最近よく集まる場所でもあるから。


階段を登ると二人の声が聞こえてくる。


やっぱりここに居たのか。



「俺は葵が…好きだ」



近付くあたしの耳にそれは入ってきた。その言葉に頭も体も固まる。


いつか葵に告げるんだろうなって思ってた。


思ってたけど、それは余りにもいきなりの展開で。


胸がこれ以上ないってくらいズキズキと痛くなる。


ここから離れよう…


二人が気付いてしまわないように、あたしはゆっくりと後ろへ下がる。


< 102 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop