二番目の女。
彩海が楽しそうにキッチンで料理を作ってる間、彼をチラリと見つめてみるものの、彼は携帯に夢中になってるようだった
…携帯?
ハッと気付き電源を入れる
『―――え…』
思わず声が漏れた
―不在着信5件―
―新着メール7件―
「胡桃ーどうしたの?」
なんて背を向けてタマネギを切る彼女に、なんでもない!と返して自分の部屋に行く
電話一覧を開くと
"颯太"
"颯太"
"颯太"
"颯太"
"颯太"
『ヒィ、』
家についてから今にいたるまでの30分の間、彼は何をやっているのだろう
~♪~♪~♪~
着信を知らせる音楽が鳴り、
『あっ』
思わず携帯を落としてしまった
拾い上げてみる
――颯太
こんな彼を少し、気持悪いと思ってしまうのは可笑しいのだろうか?
普通のカップルはこんなのが当たり前なのだろうか?
30秒経過すると、自動で留守電に変わることを思い出し、受話器に耳を当てた
『――もしもし』
'もしもし?胡桃!?'
普通な彼の声に少しホッとした
『どうしたの?』
'――え?'
『え?』
'俺達、付き合ってるんだよな?'
『…え?』
どうゆうこと?
'いきなりメール来なくなったら、心配になっちゃって'
『ッ…』
たったの、30分で?
'しかも胡桃、電源切ってたよね?'
『あ、うん…』
'だから、不安で不安で'
『ご、ごめんなさい』
彼は、可笑しい
少し、そう思った
'いいの、胡桃が元気なら、俺はそれでいいからさ'
はは、なんて笑う颯太に私は笑った
これが、愛ってやつなのかな?
『ごめんね…本当に』
'いいの!俺すごい心配性でさ、寝るとお風呂とご飯とか、返せなくなった時は言ってね?'
『…返せなくなるって?』
'え、メールだよ!俺も報告するからさ。大好きだよ'
メールを毎日どんな時もしなきゃいけないという事なんだろうか…?
『ッ』
'大好きっていう報告!あ、俺ちょっと皆から離れちゃったからまた戻るね?'
『あ…これからご飯だから、食べ終わったら、メールするね』
'ん…分かった。バイバイ'
『うん…』
プチッ、なんて通話終了ボタンを押して携帯を見た
――なんだろう、可笑しい
『(重い、なあ)』
これが普通の愛ならば
私が望んでいた愛ならば
こんなのは、いらない
なんて思ったけど
私に笑いかける颯太を思うと
私に大好きだと伝える颯太を思うと
これからゆっくり、好きになっていけばいいのかな
なんて思ってしまった