危険なキス
「……で、あるから、ここを要約すると……」
授業を開始してしまえば、またがらりと変わる。
先生が頭がいいことは事実で、教え方はうまい。
学校の先生や、問題集の解き方を見ても分からないことも、湯浅先生に聞けばすぐに分かってしまう。
だからこそ、あたしは余計に腹が立った。
使えない先生だったら、すぐに別の先生にしてもらうのに……。
「じゃあ、今から小テストな」
「え!?」
「よーい、スタート」
授業の後半、いきなり振りかけられた小テスト。
戸惑う間もなく、勝手にスタートの合図。
あたしは慌てて、渡されたプリントに目を通した。
問題は10問。
今教えられたことばかり。
今日の授業の前にやっていたら、きっと半分くらいしか分からなかった。
だけど、教えてもらったおかげで、すらすらとペンが進む。
「はい。そこまで」
「ふぅ……」
そして、とくに詰まることなく、問題は溶けた。