危険なキス
14章 認めたくない
 
あれから予備校に行かないといけない時間になったので、あたしたちは気まずい雰囲気の中、別れることになった。

だけど別方向の電車に乗り込むとき


「また連絡するな」


と、楠木は笑顔で言ってくれた。


大丈夫。
さっきのキスは、まだ心の準備が出来ていなかっただけだから……。

ずっと憧れすぎて、かまえちゃっただけ。


あたしはパンと顔を叩くと、予備校の建物の中へと入った。



一人の先生に数十人の生徒。

この割合だからかもしれないけど、やっぱり教え方は湯浅先生のほうがずっとわかりやすかった。

そういえば湯浅先生って、家庭教師のときは大学院生って言ってたけど、実際は大卒なのだろうか。
あ、でも、教員免許を持ってるくらいだから大学は出てるか……。
でもどこの大学?


思えば、先生の本性を知ってから、先生のことについて聞いたことがない。


あたし…

湯浅先生のこと、何も知らないんだ……。


それを思い知って、なんだか悲しい気持ちになった。
 
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