危険なキス
 
「付き合って……ない……」


そうだよ。

よくよく考えれば、あたしの片想い。

先生は、また前のように、素の自分を見せてくれるだけ。


「紫乃……顔、怖い」
「な、怖いって言うなっ」


急に表情が一変したあたしに、思わず麻衣子が突っ込む。

だけど自分のバカさに嫌気がさして、そんなのんきに笑ってられないよ。


「えっと……つまり、紫乃の片想い?」
「うん……」
「……そっか」


あたしはそのまま机に突っ伏した。


なんか、舞い上がってた自分が情けない……。


「あたしと一緒。
 片想い、頑張ろうよ」

「麻衣子……。
 うん」


麻衣子はあたしの頭をポンポン叩いて励ましてくれた。

あたしもようやく顔をあげる。
 
< 279 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop