危険なキス
 
「あ、でもさ……
 釘をさすようで悪いんだけど……
 セフレとか、都合のいい女にならないようには気をつけなよ」

「え……」

「だって、あの先生だよ。
 素って、やっぱりあの時のほう、なんでしょ?」


麻衣子は思い出していた。

初めて湯浅先生を見た日のこと。
女を小バカにして、街中でキスをしていた先生。


たぶん、麻衣子にとって湯浅先生の印象は、あたし以上に最悪だ。


「う、うん……」

「じゃあ、もしそういう雰囲気になったら、ちゃんと気持ちとか確かめなよ。
 紫乃のことだから、ある程度脈ありになってないとそういうことしないと思うけど……
 でも脈ありだけじゃ、そんなの分からない!
 ちゃんと相手からも、言葉で聞くこと」

「……はい…」


あたしは、麻衣子から説教まじりの忠告を受けた。


こう見えて、麻衣子は恋愛経験豊富。

見た目は可愛いし、性格も人懐っこいから、告白される数も多い。
そういった人のアドバイスは、素直に受けるべきである。
 
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