危険なキス
17章 隠されたもの
 
それから、バカみたいに勉強に専念した。

T大学に行きたい、という気持ちは失せたけど、でももともと先生関係なしに目指していた場所。
だからお母さんの希望を叶えるための意味でも、あたしは完全に勉強だけの人間になろうと思った。


「おはよー!」
「おはよ」


月曜日、いつも通り学校へ行った。

学校までの道を歩いていると、後ろから麻衣子に声をかけられる。


「また1週間始まったねー」
「そだね」
「……なんか紫乃、元気ない?」


いつも通りにしているつもりだけど、麻衣子にはなんとなく伝わってみたいだった。
だけどこれ以上心配されたくなくて、首をかしげると


「何が?」
「あ、ううん。なんでもないならいいんだ」


と、ごまかされてくれた。


一緒に片想い頑張ろう、って言ってくれたけど、あたしはもう頑張る必要なくなっちゃったよ……。

ごめんね。

心の中で、麻衣子に謝った。
 
< 299 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop