危険なキス
 
校舎に入るなり、なんだか人の視線が気になった。

やけに行き交う生徒に見られ、中にはひそひそと話す人もいる。


「なんか嫌な感じじゃない?」
「うん」


麻衣子もそれに気づいたみたいで、その視線がなんなのか分からず廊下を歩いていた。

だけどそのとき……


「柊!」


先に来ていた楠木が、あたしのもとへ駆けてきた。


「お前っ、どういうこと!?」
「何が?」
「いいから、ちょっと来い」
「ちょっ……」


楠木は、意味の分かっていないあたしの腕を引っ張ると、どこかへ向かって歩いていく。

そしてたどり着いた場所は、全校生徒が見る掲示板のところだった。


「もー…痛いって……」


足が止まったところでようやく顔をあげる。

だけど顔をあげた瞬間、その場で固まってしまった。



そこには……


あたしと湯浅先生が、マンションへ一緒に入る写真が貼られていた。

 
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