危険なキス
そうだ……。
俺は一人の女を好きになってはいけない。
一人の女だけを好きになる資格なんかないから……。
《あなたのせいでっ……》
「…っ」
ふいに思い出されたあの言葉。
思い出すだけで、胸が痛くなる。
大事だと思えば思うほど、本気になって伝えてはいけない。
あの日から、そう決めてたはず。
だからもう、誰にも本気で好きにはならないと決めてたはずなのに……
(先生……)
目を閉じて、思い出されるのは
紫乃が俺を名を呼ぶ顔ばかりだ。