危険なキス
「すっげー思いつめた顔してんな」
「!!」
途端に現実に呼び戻された。
顔をあげると、そこには苦笑いをした雅人の姿が。
そうだ。
今はこいつと一緒に飲みに来てるんだっけ。
「お姫様のことでも想ってた?
それとも過去のことだったり」
「……黙れ」
まるで人の心を読んだかのように、ピンポイントで二つのことを突っ込んでくる。
雅人は「こえー」とか言いながら、ビールを飲み干した。
「そういえばさっき、お姫様に会ったよ。
初めて話した」
「は?なんで話す必要があんだよ」
「妬かない妬かない」
「ばっ、そういう意味じゃねーよ!」
思わずムキになってしまった俺に、雅人は面白そうに笑う。
「ちっ……」
昔からそうだ。
こいつにはいつも勝てない。