危険なキス
 
力強く抱きしめる腕。

大嫌いだったはずの、大好きな匂い。


先生に抱きしめられたことで、また涙が溢れ出てきた。



「俺が……
 お前を守れるような男だったら……」


「え……?」



顔をあげた瞬間、そこにあったのは先生の顔。

そして目を閉じる間もなく、唇を落とされた。


ただ重ねられるだけのキス。

切なくて、悲しみに溢れたキス。


唇を離して、見上げた瞳に映る先生は、今にも泣きだしそうな顔だった。



「……これで最後な。
 もう二度と俺にかかわるな」



先生は、一人部屋を出て行った。
 


悲しみだけを残して―――

 
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