危険なキス
 
「お前と……紫乃と、あいつは違う……。
 だから同じことになるとは限らないし、それに……

 そうならないよう、今の俺だったら止められるって分かったんだよ」

「先生……」

「本当はな……あいつと別れてから1年経ったとき、手紙がきたんだ……」

「手紙?」


先生は髪から手を離すと、仰向けになる。
そして遠い過去を見るように天井を見上げた。


「俺の許しの手紙……。
 もう自分は大丈夫だから、俺は俺で前を向いてほしいって……。

 だけどその手紙は、一度読んで、机の奥底にしまわれた。
 こんな生ぬるい言葉を、望んでいたわけじゃないから……」


彼女は、先生のことが本当に好きだった。

だからきっと、いつまでも自分のことで思い悩んでいる先生を、早く前へ向かせたかったんだ。

だけど先生の傷は深すぎて、それだけじゃ癒えなかった……。


「でもようやく、あの手紙のことが実現できる気がする。
 お前のおかげでな」

「先生……」


こっちへ振り向いて、笑顔を向ける先生。

その笑顔が優しくて、思わず涙がこぼれた。
 
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