危険なキス
 
「今日が最終日だなんて聞いてないですっ……」

《ああ……。母親から聞いたのか》

「なんで言ってくれなかったんですか?
 今日が最後って分かってたら、あんなことっ……」

《俺もするはずなかったんだけどな。
 だけどお前が、あまりにも可愛いこと言ってくるから》


電話越しに、くすっと笑う声が聞こえた。

そんな先生の態度が悔しくてたまらない。


「時計っ……忘れてます。返しに行かないと……」
《時計?……ああ。お前にやるよ》
「そんなわけには……」
《初めて記念日に》
「なっ……」


あたしの反応を聞いて、先生はまた面白そうに笑っていた。
 
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