Produce!〜高校デビューしませんか?〜



放課後になると、私はすぐに柊くんの席に向かった。



「大樹、王子のとこ付き合って!」

「え?俺、今日は柚花ん家行くんだけど」

「…は?いつも、暇なときは私にくっついてるくせに!結局柚花か!」



…おっと?さっき、人を想いやる気持ちが大事なんだって思ったはずなのに。
私はやっぱり自分勝手なのかもしれない。
なんだか、そんな自分に落胆する。


なのに、柊くんは呆れたように「ほんと真衣って強引」と笑う。
この人は、怒るという感情があるのか、疑問に思うほど、優しい。




「いや、ごめん。一人で行くから大丈夫…」


私は柊くんに別れを告げる教室を出た。
でも、すぐに柊くんが私の横に並んだ。



「…10分だけ、な」

「………」


私を見下ろす柊くんの顔は、いつも以上にイケメンに思えた。
優しくて、私を思ってくれているのが伝わってくる。
大事にされているのも感じる。


なのに、自分は…
未だに柊くんを変えたのは自分。という考えが拭えない。



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