君が好きだから嘘をつく
「もしもし」

「あ!お疲れ様です。お忙しい所メールしてすいません」

電話越しに明るい声が聞こえる。

「ああ、大丈夫だよ。何?美好に行くの?」

「はい、美好って小料理屋さんですよね?いつも山中さんがいいお店って言っていたので、みんなも喜ぶかな?って思って」

「そっか、料理も美味しいからいいんじゃないかな?」

「本当ですか?それで山中さんにお願いがあるんですけど、初めてのお店なのでどんな感じのお店か行ってみたくて・・もしお時間あったら一緒に行って貰えませんか?予約もできたらと思って」

突然の美好への誘いに一瞬驚く。
確かに今まで何度もいろんなお店に2人で食事に行っているから不思議じゃない。でも今日は楓と美好に行くつもりだったからちょっと迷いはあるけど、まあ楓も誘えばいいかな?と思い返事をした。

「今日でいいの?」

「はい、山中さんは今日大丈夫ですか?」

「いいよ。今は会社?」

「はい」

「じゃあ、あと30分位で戻れるから待っててくれる?」

「分かりました。よろしくお願いします」

「じゃ、あとで」

電話を切ってタバコを消すとまた車を走らせた。
運転しながら何となく考える。
今まで楓と行っていた美好に麻里と行くことに、何か不思議な感覚を感じた。
でも、楓と隼人と3人で行ったこともあるし。
急いでお店を探しているみたいだから、とりあえず行こうと思った。


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