太陽と月


女の子なら、きっと誰でも信じてみたくなる事

赤い糸で結ばれた、運命の相手



まだ私は出会っていないけど

きっと、この世界中のどこかにいるはずだ



御伽話だって笑う人もいるだろうけど

運命の相手がいるって、私は信じたい

夢を見るのは、私の勝手だから



断言した私の言葉を聞いて

その大きな瞳を伏せた主任



薄暗い部屋のせいか、その表情はハッキリとは見えないけど

どこかいつもの雰囲気とは違う

その姿が、どこか消えてしまいそうだと思って、思わず声を掛けようとした時――




「もし、運命の相手がいるなら―――俺はもう、出会ってしまった後だから」




そう言った主任の言葉に、息がつまる

何故か、ものすごい消失感に襲われて

泣きそうになってしまった


それでも、無理に笑顔を作って問いかける



「じゃぁ! その人と結婚すればいいじゃないですか! 運命の相手と思える程の人なんでしょう?」



そう思えるほど、好きな人なら

一生一緒にいたいと思うのが普通じゃないの?

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