太陽と月



「主任は...その...花が好きなんですか?」



その横顔にニッコリ微笑んで問いかける

なんだか、とても辛そうに見えたから

その雰囲気を打破する様に、無駄に明るい声で問いかけた



すると、さっきまで主任を纏っていたどこか寂しそうな雰囲気がすっと消える




「好きだよ。昔は興味もなかったけど――でも」

「でも?」



一度言葉を切ってから、優しく目じりを垂らして微笑んだ大西主任

そして、どこか慈しむ様な視線を桜に向けて




「ここから見る桜が、一番好きかな」




呟く様にそう言った





一瞬微かに空気が変わる

それでも、そんな空気を変える様に大西主任が大きく空に向かって背伸びをした



まるで猫みたいに、大きな目をギュッと閉じて

クイッと唇の先の上がった口を横に伸ばして

ん~!! と声を出した


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