太陽と月


「なんだか私、久しぶりに空見上げました」




何の変哲もない、ただの空なのに

なんだか妙に綺麗に見える

ずっと見ていたいとさえ思う



清々しい気持ちが胸いっぱいに広がって、思わず胸いっぱいに息を吸った




「はぁ~…気持ちい」




満面の笑顔でそう言った私を見て、同じ様に空を見上げていた大西主任が笑う




「仕事してるとさ、忙しくて空なんて見上げる事なくなっていくんだよな。書類ばっかり見つめて、人混みの先ばっかり見つめて――」




その言葉に、同意する様に小さく頷いた



ここ最近は、毎日目まぐるしく変わる日常についていくのがやっとで

目の前に広がる書類ばかり見つめて

視線はいつも、下ばかり見ていた

空なんて、見上げる暇もなかった




「疲れて、もう歩けないって思う時も、こうやって空を見上げると、もう少し頑張ってみようって思うえるんだよな」

「――私も、そう思います!」




どこまでも広がる青い空が疲れていた体を癒してくれる

まるで、私を優しく包んでくれているみたい



それでも大西主任にも、もう歩けないって思う事があるんだなぁ~と思う

いつも笑顔で明るい人だから



そんな事を思っていると、ふと視線を感じて顔を下ろす

すると、私を見つめて優しく微笑む大西主任がいた


そして




「あんまり頑張りすぎるなよ」




そう言って、太陽みたいな笑顔で

笑った

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