神の戯れ
漆黒の闇の中、ハラリと木の葉が舞い降りる。
夜風に吹かれ身を揺らし、静かに湿った地面へと着地する筈のそれだったが、地面に触れる寸前で氷の刃に貫かれた。
「危ないな……」
「あら失礼。急に現れるんだもの、敵かと思うじゃない」
何の悪びれも無く言うのは木の葉を粉砕した張本人、フィノ・ネィジュ。
刃の餌食になりかねた人物、アスラ・エリクサーは溜め息混じりに息を吐きながら暗闇から姿を現した。
「それで、別れは済んだの?」
「あぁ。今頃あの空間から無事抜け出しているだろう」
「ふ~ん」
どこか機嫌の悪いフィノを不思議に思いながら、足元の見えない夜道を平然と歩くアスラ。
並んで歩く2人の姿は闇に紛れ、既に見えなくなっていた。