最大の出来事
和菓子
 育実が唐突に質問したのは夕食を終えたばかりのときだ。

「璃穏君、吸い物に何か入れてほしい具材がある?」
「へ?」

 実は前から似たようなものばかり入れていたことを父親に言われた。
 そのことを育実が教えると、璃穏は納得して、元気に松茸を入れてほしいことを頼んだ。

「却下」
「空夜は?何か希望はある?」
「うーん・・・・・・」

 空夜は少し考えてから、たけのこを希望した。たけのこだったら、わかめや豆腐と合う。

「他に何があるかな?」
「肉とか」

 空夜が言ったことに、璃穏も悪くないと思った。実際、料理の本に豚肉あるいは鶏肉を使った吸い物のレシピを読んだことがある。
 この後も白菜やごぼう、にんじん、ちくわ、油揚げなど、それらを組み合わせながら、今後は吸い物を作る予定。

「俺の嫌いなものを入れなかったら、それでいい」

 空夜は宿題がたくさんあるらしく、急いでそれをやりに行った。
 育実が皿洗いをしようとすると、璃穏が止めた。

「育ちゃん、駄目だよ」
「あ・・・・・・」

 数分前、育実は外にゴミを捨てに行っていて、そのときに足を滑らせて、手を怪我してしまった。
 家の中に入ると、それに気づいた璃穏が手当てをしてくれた。

「俺がやるから」
「ありがとう」
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