最大の出来事
 もう一人日直がいるのだが、彼は家の用事で今日は学校を休んでいる。

「日直の仕事、手伝うね」
「ありがとう。育実」

 教室に入って席に着くと、一桜が育実の席で立ち止まった。

「どうしたの?」
「前のことだけどさ・・・・・・」

 どのことがわからず首を傾げると、買い物のことを言ってきた。

「行けそう?」
「うん」

 一桜は特に予定がなかったことを加えた。

「良かった!楽しみだね!」
「本当だね」

 何か買いたいものがあるのか互いに確認していると、チャイムが鳴った。

「あっ!そろそろ席に戻るね」
「うん、後でね」

 授業中、一桜は育実と楽しく買い物をすることができるのか、ずっと考えていた。
 急用が入ったと嘘を吐いて断ることができるものの、正直そのようなことはしたくないので、却下する。
 四時間目は体育の授業で、バトミントンをする。そのため、着替えてから体育館シューズを持って、体育館へ移動しなくてはならない。

「ちゃんとできるかな?」

 溜息を吐きながら心配している育実の肩に手を置く。

「育実!」
「何?」
「弱気なことを言わないの!」

 自由に分かれることができるので、一桜は育実を練習に誘った。
 バトミントンの練習をするものの、ラケットでなかなか打ち返すことができない。

「もう嫌・・・・・・」
「弱気にならないの!」
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